◇2004/10/04 Mon◇

コーヒーとカメラ



ここ最近、金沢や京都やらと古都に行くことが多いのだが、
雅な風物を見に行くのではなく
親類の集まりなのでいまいち高揚感がない。

それはいいのだが、行く理由の一端に
コーヒーとカメラが関係している。

もう一ヶ月ぐらい前だろうか。
金沢の祖父が他界した。
その一週間前まで祖父の家に入り浸っていたのだが、
その時に僕がカメラをやっているのを知って
20年近く愛用していたカメラを譲ってくれた。

そもそもカメラを始めるきっかけは中学生の頃に
おじいちゃんの使ってるカメラを使わせて貰い
その感覚が忘れられないで自分で買い求めたのがきっかけだ。
そのおかげで時代錯誤な
ピント合わせから露出までフルマニュアルのカメラを使っている。
とりあえずそのカメラのおかげでカメラに関する基礎知識を
豊富な失敗の中から学ぶことができた。
話がずれたが、初めての一眼レフであるおじいちゃんのカメラを
手にしてうれしくもあり悲しくもあった。

おじいちゃんの家に泊まり込んでいたときは、
夕ご飯が済むとお茶なりコーヒーなりを僕が入れて
それを飲みながらゆっくりと流れる時間に浸かっていた。
おじいちゃんは寝るかお茶を飲むか、
そうでなければ孫(僕だが)に自分の若かりし頃の昔話をしたり、
その傍らではおばあちゃんが
適度につきあいながらもうたた寝したりしていたのである。

ほとんど止まっているような時の中で、
僕は譲り受けたカメラの掃除やマニュアルの精読をしたりしながら
おじいちゃんとの話を少しでも引き出すように話かけたりしていた。

いまから考えれば、なにもないようでいて
濃密なひとときを過ごしたのはそのときぐらいかもしれない。
ただ、浅はかな僕はその時間が
いつでも繰り返すことができるものと思いこんでいたのである。

家に帰ってきてから一週間も経たないある朝、
叔母からの電話でその旅立ちを知らされた。

金沢に向かう電車に揺られながら、
どこか他人事で、まるでテレビ越しに見ているような
浮遊感の中にいた。

横たわりドライアイスに囲まれた祖父の姿を見るまで、
全くの実感を持たないままにいたのだ。
そのおかげで衝撃は強かった。

しばらくして落ち着いてから
枕元に供えるためのコーヒーを淹れていると、
祖父との時間が頭の中であふれてきて
いつまでも作業が進まなかったのを覚えている。
撮った写真を見せられなかったこと、
元気なときは喜んで淹れたコーヒーを飲んでくれたこと。
悲しみという言葉だけでは足りない感情が水分になって出てきた。

僕の誇りとする祖父は、もういない。
残ったのはコーヒーとカメラの思い出である。


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 コメント
  • 長年ほうっておいたフレンチプレスが復活!
    Wesleykib (07/27)
  • 長年ほうっておいたフレンチプレスが復活!
    hama (04/29)
  • 長年ほうっておいたフレンチプレスが復活!
    かわうそ (04/25)
  • <森毅さん>料理中に大やけど 服に火移り【毎日新聞】
    hama (03/04)
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    マグ (03/01)
  • フェアトレードコーヒーについて調べたんでまとめて掲載
    hama (01/28)
  • コーヒーは適量を摂取するとアルツハイマーの発症リスクを押さえ、過剰に摂取すると幻覚症状を起こしやすい。らしい
    hama (01/27)
  • コーヒーは適量を摂取するとアルツハイマーの発症リスクを押さえ、過剰に摂取すると幻覚症状を起こしやすい。らしい
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